道長に目をかける実資(秋山竜次)
そんな対照的な兄を持つ道長は、異母兄である道綱(上地雄輔)の「妾は常に辛いのだ」という言葉を受けてなのか、2人の妻、倫子と明子に平等に愛を注いでいる。そんな道長に未だ、恋する乙女のような顔を見せる倫子。
一方で、父の老いを受け入れられない道長を、「摂政様も人の子」「私は老いた父も愛おしゅうございます」と優しく諭すなど、良妻賢母ぶりを発揮した。明子はさておき、倫子のような妻がいて道長も心強いだろう。
そんな道長は、政を司るものとしても真っ当な姿勢を見せている。民からの訴状を却下した道隆に対しても、「民なくば、我々の暮らしもありません」とすかさず反論。その根底には、まひろと共有する「直秀(毎熊克哉)のような無残な死に方をする人をなくしたい」という願いがある。
4年前の庚申の夜。「私は私らしく、自分が生まれてきた意味を探します」と言って、道長に別れを告げたまひろ。文字という盾を民に授けるという使命を見つけた彼女と時を同じくして、道長は内裏で民のために働いていた。
そんな道長に感心するそぶりを見せていたのが、実資(秋山竜次)だ。前話では、赤痢に苦しんでいた実資だが、体調も元通りになったばかりか、蔵人頭に復帰。それだけ内裏には欠かせない有能な人物ということだろう。
兼家のことは良く思っていないが、道長の働きぶりを素直に認める彼の審美眼には、視聴者も信頼を置いている。生命力も強いので、その点においても安心安全の男だ。