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綺麗事を排除…過剰な“性と暴力”に込められた意味とは? 『光る君へ』が挑戦する新しい大河ドラマの形。第1話&第2話考察

text by 苫とり子

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)が放送中。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く本作。今回は、第1話を振り返るとともに、主人公のまひろ(吉高)と藤原道長(柄本佑)が運命的な再会を果たした第2話のあらすじとレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

現代的アプローチで描かれる新たな大河ドラマ

『光る君へ』第2話より ©NHK
光る君へ第2話より ©NHK

『光る君へ』は63作目の大河ドラマで、今から1200年以上前の平安時代が舞台。吉高由里子主演で7年ぶりの女性主人公となる、まひろ/紫式部の生涯を描く。

紫式部といえば、今なお多くの人を惹きつけてやまない日本最古の長編小説『源氏物語』の作者。誰もが知る歴史上の人物でありながら、どういう人生を歩み、またどんな人だったのかを答えられる人は意外に少ないのではないだろうか。

そんなベールに包まれた紫式部の生き様を独自の視点で紐解いていくのが、脚本家の大石静だ。彼女が大河ドラマの脚本を手がけるのは、2006年の『功名が辻』以来2度目。“ラブストーリーの名手”とも呼ばれ、近年も『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系/2018年)、『知らなくていいコト』(日本テレビ系/2020年)、『星降る夜に』(テレビ朝日系/2023年)など、数年おきに記憶に残る恋愛ドラマを世に送り出している。

大石が描く物語の世界は甘美な魅力に溢れているが、決してお綺麗なものだけを観客に見せようとはしない。時折、ドキッとする綺麗事を排除した心理や人間模様に出会うから観ているこちらも油断できないのだ。そんな大石らしさが初回の放送から溢れ出ていたように思う。

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