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“バイオレンス”が際立った第1話

『光る君へ』第2話より ©NHK
光る君へ第2話より ©NHK

第1話で描かれたのは、一瞬にして大切なものを奪われたまひろの幼少期。当時、9歳だったまひろ(落井実結子)は自分の目の前で右大臣・藤原兼家(段田安則)の息子である道兼(玉置玲央)に母・ちやは(国仲涼子)を殺された。

直接的な原因は、ちやはが娘の無礼に対して怒りをあらわにする道兼を諌めたこと、さらには従者の「道兼様を黙らせるとは肝の据わった女子でございます」という余計な一言だが、その背景にあるのは宮中での権力闘争だ。

兄弟の中で誰よりも出世欲が強いにもかかわらず、父親から冷遇を強いられている道兼。そのイライラを理不尽にも弟の三郎/道長(木村皐誠)にぶつけ、母の時姫(三石琴乃)にも強く諌められる。あの瞬間、道兼の中でちやはと時姫が重なったのではないだろうか。

そこには、男にならまだしも女なぞに黙らされてたまるかという強烈なプライドがある。ましてや、ちやはは庶民に近い身分の女性。道兼にとって彼女の命は軽い。まひろの父・為時(岸谷五朗)も兼家の口利きで職を得たばかりだったため、ちやはの死を病死と偽るしかなかった。

剣を交える戦はなくとも、陰謀渦巻く権力闘争の裏で血を流したものがいる。道兼が返り血を浴びたまま自邸に戻り、“穢れ”を持ち込む描写はそれを可視化するものだったのではないか。いずれにせよ、制作発表会見で大石がキーワードとして挙げた「セックス&バイオレンス」の“バイオレンス”が際立つ回となった。

大石の言う「セックス&バイオレンス」の“セックス”が何を意味しているのかはまだ分からないが、それが身体的な男女の交わりに限らず、精神的な意味もそこに含まれるのであれば、続く第2話は前者が際立った回と言えるだろう。

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