吉高由里子と松下洸平が出会うと何かが起きる…。
まひろは生まれて初めて都を離れ、父である為時と越前国へ。『光る君へ』“越前編”がスタートし、宗人たちとの華やかな交流が描かれる一方で、通詞・三国の死によりサスペンス色が増した。
その一端を担っているのが、今回から登場となった松下洸平演じる周明だ。主演を務める吉高由里子とは、2021年のドラマ『最愛』(TBS系)以来約2年ぶりの共演となる。
周明は物静かで、物憂げな眼差しが何だか気になる人物。まひろも敦賀の海でふと目が止まり、「私の名前はまひろ」と語りかける。すると、落ちている木の枝で砂に自分の名前を書く周明。これは、まだ三郎と呼ばれていた頃の道長との出会いと同じシチュエーションである。何やら恋が始まりそうな予感を漂わせた。
だが、作中で吉高由里子と松下洸平が出会うと何かが起きる。三国は果たして誰に殺されたのだろうか。役人に拘束された時の反応を見る限り、おそらく犯人は朱ではなく、何者かに嵌められたのだろう。まひろに話しかけられた時は日本語が分からないそぶりを見せていたにも関わらず、周明は突然流暢な日本語で朱の無実を訴える。謎めいた人物だ。
松下は現在放送中のドラマ『9ボーダー』(2024、TBS系)で記憶喪失の男性を演じており、ミステリアスな役柄が続いている。同作で松下が演じるコウタロウは優しく微笑む癒し系の男子で、周明とはまた違ったタイプだが、掴もうとしても手のひらをすり抜けていきそうな雰囲気がニクい。
周明もあっさり消えてしまいそうなくらい儚げで、何だか直秀(毎熊克哉)の面影を感じてしまう。淡々と器用に鍼治療を施す様も、卒なく何でもこなす直秀と被った。死別した忘れがたい人と、どこか似ている人に出会い、恋に落ちる…。異国情緒溢れるセットも相まって、王道の韓国ドラマを彷彿とさせた。