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人を沼らせる生粋の才能の持ち主・松下洸平

『光る君へ』第21話より ©NHK
『光る君へ』第21話より ©NHK

 松下は連続テレビ小説『スカーレット』(2019、NHK総合)で演じた主人公・喜美子(戸田恵梨香)の夫・八郎役でブレイク。優しさが滲み出る演技で幅広い層の女性視聴者を虜にした。その人気ぶりは“八郎沼”というワードが誕生したほど。

『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(2020、日本テレビ系)や『最愛』(2021、TBS系)でもヒロインの相手役を務めているが、どの役もおしなべて“メロい”。松下には人を沼らせる生粋の才能がある。

 一方で、映画『ミステリと言う勿れ』(2023)では“犯人役”を担った。同作で松下が演じた車坂朝晴は代々、遺産をめぐる争いで死者さえ出るといういわく付きの名家・狩集家に仕えてきた顧問弁護士の息子。

 自らの使命に従い、犯した罪を自白するシーンでは一見、罪を罪とも思っていないかのようなサイコパスに思える。だが、心のどこかに罪悪感があり、それを認めぬよう必死に抗っている様子も見て取れた。

 今回、手荒にまひろを従わせようとするシーンもそう。人種や身分差別のある宋で地位を得ようとする一方でまひろに心惹かれていく周明の葛藤が表情や身振りに表れていた。

 タイトル通り、登場人物それぞれの“忘れえぬ人”が描かれた第24回。松下が奥行きをもって演じてくれた周明も、視聴者にとっての“忘れえぬ人”になることだろう。

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