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すべて覚悟の上だった宣孝

『光る君へ』第27話より ©NHK
『光る君へ』第27話より ©NHK

「いま一度、俺のそばで生きることを考えぬか?」という道長の申し出を断り、都にある自宅に戻ったまひろ。宣孝とも無事に仲直りし、ほっと胸を撫で下ろした頃、妊娠が判明する。月のものが止まった時期から推測するに、子を授かったのは宣孝の足が遠のき、石山寺で道長と関係を持った頃。史実とは異なるが、おそらくお腹の子の父親は道長なのだろう。

 いともすぐに事情を察し、「殿様には黙っていましょう」とまひろに持ちかける。だが、よく気の回る宣孝が気づかないはずがなかった。まひろから出産の時期を伝えられ、おそらく瞬時にお腹の子の父親が自分ではないことに気づき、わかった上で「良い子を産めよ!」と言った宣孝。

 それがありがたくも心が痛み、まひろは自ら離縁を申し出る。けれど、宣孝は「そなたの生む子は誰の子でもわしの子だ。一緒に育てよう」「わしのお前への思いはそのようなことで揺るぎはせぬ」と全てを受け入れた。そうだ、この人は最初から道長への未練も含め、まひろを丸ごと引き受ける覚悟だったのだ。

 まひろが罪悪感を抱かなくてもいいように、「その子を慈しんで育てれば、左大臣様は、ますますわしを大事にしてくださろう。この子はわしに福を呼ぶ子やもしれぬ」と自分にも利があることを伝えてくれるのも宣孝らしい。分かってはいたが、なんと懐の大きい男だろう。もしも道長だったら、自分とは違う男との間に子を授かったまひろを受け入れられなかったんじゃないかと思う。

 まひろは潔癖なところがあり、宣孝とは正反対だが、それくらいのバランスがちょうどいいのかもしれない。一方、気になるのは宣孝が寝ている間に時折、息が止まること。まひろはそれを微笑ましく思うが、おそらくこれは睡眠時無呼吸症候群の症状だろう。2人の婚姻生活は宣孝の病死で長くは続かなかったと言われている。心に安定をもたらしてくれる宣孝がいなくなってしまったら、まひろはどうなってしまうのか。今から心配で仕方がない。

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