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定子も皇子を出産

『光る君へ』第27話より ©NHK
『光る君へ』第27話より ©NHK

 まひろが無事に娘を産んだ頃、もう一人の女性が出産する。定子(高畑充希)だ。前回、国の未来のために娘である彰子(見上愛)を一条天皇(塩野瑛久)に“生贄”として捧げることを決意した道長。妻の倫子(黒木華)も覚悟を決め、彰子に一通り教養を身につけさせて天皇の元へ送り出すが、彼の定子に対する寵愛ぶりは変わらなかった。結果、定子は彰子の入内から6日後に、一条天皇との間に授かった皇子を産む。

 印象的だったのは、中関白家の隆盛を懸念する母・詮子(吉田羊)に一条天皇が長年の不満をぶつける場面だ。今、一条天皇は定子を愛するあまり政をおろそかにし、公卿たちから後ろ指を指されている状況。それをあろうことか、一条天皇は詮子のせいにする。

 定子にのめり込んだのも、詮子から逃れるためだったという一条天皇。たしかに詮子はいわゆる“教育ママ”で、一条天皇を幼少の頃より厳しく育ててきた。ゆえに一条天皇も十分に母親に甘えることができず、寂しかったのだろう。

 だけど、詮子は詮子なりに一条天皇を立派に育てようとしてきた。父・兼家(段田安則)に政の道具として扱われ、夫である円融天皇(坂東巳之助)からも疎まれ、愛されぬ苦しみを糧に生きてきた。それなのに、愛する息子からも「朕も父上から愛でられなかった母上の慰めものでした」と言われてしまう。その瞬間、計ったかのように右目から涙をこぼす吉田羊の演技が胸を打った。

 親に1人の人間として愛されなかった孤独の連鎖。一条天皇の苦しみも理解できるが、このままでは詮子があまりに報われない。死が2人を分かつまでに、この悲しい親子は果たして仲直りできるのだろうか。

(文・苫とり子)

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