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24歳の短い生涯を終えた定子

『光る君へ』第28話より ©NHK
『光る君へ』第28話より ©NHK

 道長が回復した一方で、定子が3人目の御子を出産した直後に亡くなった。この時、24歳。短く波乱に満ちた生涯だった。

 のちに関白となる藤原道隆(井浦新)の娘として生まれた定子。兄の伊周(三浦翔平)に軽口をたたく天真爛漫な少女だった登場直後の姿が忘れられない。4歳年下の夫である一条天皇が母親に甘えられず寂しい思いをしていると見抜き、一緒に遊んであげる心の温かい女性だった。

 そんな定子が影を落とすようになったのは、道隆が病で弱り始めた頃から。中関白家が凋落し始めると、道隆も伊周も本性を剥き出しにし、定子に一条天皇との子を設けるように鬼の形相で迫った。きっと定子はそれまで父と兄に心から愛され、対等な家族だと思っていたのだろう。けれど、どちらも自分を政治の道具として見ていた。
 
 自分は愛されるべき存在だと信じて疑わなかった少女から、諦念とともに自分の定めを受け入れた大人の女性へ。そんな悲しい変化を高畑充希が見事に体現していた。宮中では一条天皇を手玉にとる悪女として後ろ指をさされる存在だった。それでもなお、視聴者からは一切嫌われなかったのは定子が心から一条天皇を愛していたからであり、高畑の持つ純真さがあったからだろう。

 自分の意思が及ばぬところで悲劇に巻き込まれ続けた定子。そんな彼女に、ききょう/清少納言(ファーストサマーウイカ)はひと目で心奪われ、見返りを求めず愛を注いだ。定子に本音を話せる相手がいてくれて良かったと心から思う。

 ファーストサマーウイカはききょうの定子への気持ちを“推し”と表現していた。だとしたら、最後に定子が彼女に伝えた「いつまでも私のそばにいておくれ」という言葉は最高の賛辞だったのではないだろうか。二人の絆は「枕草子」を通じ、1000年以上の時を超えて私たちの胸を熱くさせる。

(文・苫とり子)

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