笑顔だけを残して退場した宣孝
娘ほど歳の離れたまひろに恋愛感情を抱くという点に関しては、視聴者の反応はさまざまだったが、まひろと道長の子を受け入れたことで好感度は上々。道長が病に付した時も状況をまひろに知らせる懐の大きさを見せつけた。一方で、道長にまひろと結婚したことを嬉々として伝える子供っぽい一面も。佐々木蔵之介は表情豊かに宣孝を演じ、私たちを大いに楽しませてくれた。
娘の賢子も宣孝に懐いていたが、親子3人の時間は長くは続かず、賢子(永井花奈)がわずか3歳で宣孝は急死を遂げる。まひろには宣孝の北の方=正妻の使者から、宣孝が病で亡くなり、すでに弔いの儀も終わったことだけが伝えられる。宣孝の豪快で快活な姿だけを覚えていてほしいという正妻の配慮だった。
実に宣孝らしい最期と言えるだろう。その死の瞬間を描かないのも、視聴者への配慮に思える。結果、私たちの心にも宣孝が生前に見せていたあの太陽のような笑顔だけが記憶された。ロスは避けられないが、宣孝を思い出すときは不思議と悲しい気持ちにはならず、自然と笑顔になれそうな気がする。