まるでタキシード仮面?
月夜に現れた謎の男・直秀
第3話のもう一つの見どころは、今回のタイトルにもなっている謎の男・直秀(毎熊克哉)の存在。右大臣・兼家(段田安則)の息子とわかり、すぐに解放されたが、道長は彼のせいで放免に捕らえられてしまった。
本人も後味が悪かったのか、直秀は家から出られないまひろに道長の無事を伝える。そのシチュエーションがなんともロマンチック。まひろが月を眺めていたところ、屋根の上から「見るな。声を上げるな。危害は加えぬ」と見張りのものに気づかれぬよう静かに声をかける直秀。用件だけ伝え、颯爽とその場を去っていく彼はまるでタキシード仮面みたいだ。
本作を手がける大石静は、魅力的な男性を描くのが得意な脚本家。それも完璧すぎないところがかえって女心をくすぐる男性が多く、“尾高沼”というワードを生んだドラマ『知らなくていいコト』(2020、日本テレビ系)の柄本佑演じる尾高由一郎、女子視聴者から「こんな人と結婚したい!」という声が多数上がったドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』(2018、TBS系)のムロツヨシ演じる間宮真司、ドラマ『星降る夜に』(2023、テレビ朝日系)で北村匠海が演じた子犬系年下男子・柊一星など、その例を挙げると枚挙にいとまがない。