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“魔性の女”登場で波乱の予感…朝ドラとの見逃せない共通点とは? NHK大河ドラマ『光る君へ』第30話考察レビュー

text by 苫とり子

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。夫の死から3年が経ち、まひろは四条宮の女房達に和歌を教えたり、自作の物語を披露するように…。今回は、第30話の物語を振り返るレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・苫とり子)

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

まひろこそ道長を照らす光

『光る君へ』第30話より ©NHK
『光る君へ』第30話より ©NHK

 まひろ(吉高由里子)夫・宣孝(佐々木蔵之介)の死から3年目の夏。都を干ばつが襲った。一条天皇(塩野瑛久)が200年ぶりに自ら雨乞いをするも虚しく、土地は干上がり、次々と民が命を落としていく。まひろたちも水が手に入らず、死を覚悟するようになっていた。

 そんな中、左大臣の道長(柄本佑)は最終手段に出る。安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に祈祷を頼んだのだ。初回の放送から陰陽師として活躍していたことを考えると、かなりの長生きである。ただ干ばつは高齢の身体にはきついのか、覇気はなく、トレードマークの目のクマもより一層、濃く見えた。

 それでも生存欲求は強く、祈祷を捧げる代わりに道長の寿命を分けるように求める晴明。道長は迷うことなく自分の寿命を10年捧げ、晴明は依頼を引き受けた。そんな晴明の祈祷シーンはかなりの迫力。刀を抜き、「竜神、広く厚く、雲を作り、甘雨を下し給え」「民の乾きを、潤し給え」と唱える。ユースケ・サンタマリアはもともとミュージシャンだけあって、音程も完璧。その力強く美しい節回しに、思わず聞き入ってしまった。

 結果、雷鳴が轟き、都に激しい雨が降る。晴明は力尽きたように倒れ、雨に打たれた。従者・須麻流(DAIKI)の号泣も相まって、死んでしまったと思った人が多かったようだ。しかし、のちにすっかり老け込んだ姿で登場。

 晴明が本当に不思議な力を持っていたのか、定かではないが、ユースケ・サンタマリアの怪演もあって人知を超えた不思議な存在に思えてくる。史実とは異なるけれど、実資(秋山竜次)とともに本作のスパイス的なキャラクターとして願わくば最後まで登場していてほしい。

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