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号泣必至の神回…まひろ(吉高由里子)の心を震わせた父・為時の名言とは? NHK大河ドラマ『光る君へ』第32話考察レビュー

text by 苫とり子

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。まひろの書いた物語を次第に一条天皇が興味を持ち、いよいよまひろは内裏へ…。今回は、第32話の物語を振り返るレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・苫とり子)

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

自分自身のために書く…ようやく見つけたまひろの生きる意味

『光る君へ』第32話より ©NHK

『光る君へ』第32話より ©NHK

 道長(柄本佑)に依頼され、一条天皇(塩野瑛久)に献上するための物語を書いたまひろ(吉高由里子)。道長が語る一条天皇の半生や人となりからインスピレーションを受けた『源氏物語』は本人のお気に召さなかった。だが、まひろは落胆しない。

『光る君へ』第32回「誰がために書く」。一条天皇の手に渡った後も、誰のためでもなく物語を書き続けていたまひろは道長の「それがお前がお前であるための道か」という質問に「左様でございます」と答える。自分が生まれてきた意味をずっと探していたまひろ。それがようやく見つかったかのように、彼女の眼差しには一点に曇りもなかった。

 そういえば、ききょう(ファーストサマーウイカ)も「私は私のために生きたい」と言っていたっけ。ききょうもまた定子(高畑充希)の心を慰めるために『枕草子』を書いたが、それは彼女自身のためでもあった。

 創作とは本質的に自己満足である。にもかかわらず、時を超えて人の心を捉え続け、千年以上も語り継がれていくのだからすごい。まひろの執筆理由も最初は一条天皇のためだったが、いつしか『源氏物語』を書くことが自分の生まれてきた意味に変わっていった。

 だが、一条天皇は物語を読み進めているうちに、作者の博学ぶりに興味を持つようになった。以前も一条天皇は「身分の低いものでも能力次第で官職を得られる仕組みが整えば」と語るまひろに興味を持ったことがある。一条天皇も教養があるため、まひろとはどこかで通ずるものがあるのだろう。

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