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彰子に心動く一条天皇…まひろは2人に近づくことができるのか?

『光る君へ』第32話より ©NHK

『光る君へ』第32話より ©NHK

 そして雪がしんしんと降り積もる中で皆と別れ、内裏にあがったまひろ。その少し前、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)がついに世を去った。

 自分の死期を察した晴明はその直前、道長に「呪詛も祈祷も、人の心の在り様なのでございますよ。私が何もせずとも、人の心が勝手に震えるのでございます」「何も恐れることはございません。思いの儘におやりなさい」と言葉をかける。

 それは彼なりの励ましだったのだろう。道長の父・兼家(段田安則)の時代から政局にも多大な影響を及ぼしてきた陰陽師・安倍晴明は最初から最後まで不思議な存在だった。

 兼家との腹の探り合いや駆け引きを心から楽しんでいるように見えた晴明。道長がその兼家とは異なる手段で権力を我が物にしていく過程も興味深く見守っていたのではないだろうか。どこか人ならざる雰囲気があった晴明だが、最期に道長へ声をかけた瞬間だけは人間らしい一面を覗かせた。

 その直後、皆既月食が起き、内裏から火の手が上がる。一条天皇は建物から逃げる道すがら、敦康親王を逃すもまだ中にとどまっていた彰子と遭遇し、「そなたは何をしておる」と質問を投げかける。それに対し、「お上はいかがなされたかと思いまして」と遠慮がちに答える彰子。

 これまで彼女は道長に言いなりで自分がないように見えていたが、危機に際して誰の命令でもなく自分の意志で一条天皇を案じ、建物内にとどまっていた。

 そのことに彰子を敢えて見ないようにしていた一条天皇も心が動いた様子。彰子の手をとり、ともに建物から避難した。彰子が途中で転んでしまった際も、「大事ないか」と優しく身体を起こした一条天皇。彼の心は依然として亡き定子のもとにあるが、一歩歩み寄った2人の距離をまひろはさらに近づけることができるのだろうか。

(文・苫とり子)

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