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連続テレビ小説『虎に翼』との類似点

『光る君へ』第37話より ©NHK
『光る君へ』第37話より ©NHK

 そんなまひろを見て思い出さずにいられなかったのは、先日最終回を迎えた連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合)でヒロインの寅子(伊藤沙莉)が家族にアメリカ視察のお土産を買って帰る場面だ。

 すっかりアメリカナイズされたファッションで戻ってきた寅子は、娘の面倒を見てくれている義姉の花江(森田望智)に美容クリームや英語のレシピ本、子供達にお菓子と小説を“良かれと思って”渡すが反応はイマイチ。

 たしかに花江は女学校で英語をある程度習得していたが、家事や子供たちのお世話で忙しい中、翻訳する暇などないし、子供たちは子供たちで寅子の前ではしっかりと勉強もする“いい子”のふりをしている。そのことに寅子が全く無自覚であることを、お土産が示していた。

 まひろも普段慎ましく暮らしている家族が宮中での贅沢な暮らしぶりを聞かされてどう思うのか、母親と離れて寂しい思いはあれど、暮らしのために仕方がないと自分を納得させてきたであろう賢子が充実した母親の顔を見せられてどう思うのか、全く想像できていない。
 
 奇しくも同時期に誕生した2人のヒロイン、寅子とまひろは驚くほど状況が似ている。男性が権力を持つ社会に出ていくところも、早くに夫を亡くして一家の大黒柱になり、仕事のために子供の世話を家族に託しているところも、そんな中で子供との心理的な距離が出来てしまうところも…。どちらも女性の自己実現という大きなテーマを背負っている。

 そして子供の心情に寄り添うのが、ヒロインの弟という点も一緒だ。寅子の弟・直明(三山凌輝)が勤勉な好青年だったのに対し、まひろの弟・惟規(高杉真宙)は勉学が苦手でマイペースな青年。一見正反対だが、2人とも察しが良く、周りの変化に誰よりも早く気づく。無自覚に家族をドン引きさせているまひろのことも、「姉上、飲みすぎだよ」と即座に諌める惟規。デキる男だ。

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