ますます充実した内裏ライフを送るまひろ
為時も賢子の孤独に気づいてはいるが、娘であるまひろの大変さも分かっているがゆえに強くは言えない。そんな中で、唯一まひろに気を遣わず苦言を呈することができる惟規の存在は家族にとっても貴重なのではないだろうか。
賢子に「母上なんか大嫌い!」と言われて初めて、娘の深い孤独にようやく気づけたまひろ。だが、彼女は良くも悪くも彰子に頼りにされてしまっている。
まひろが里帰りする直前、彰子が『源氏物語』を一つの冊子にして天皇の土産にしたいと言い出し、女房たちが力を合わせて豪華本を制作する場面があった。その褒美を道長(柄本佑)が持ってきた際にも、みんなで分けるように言われているにもかかわらず、「紙は藤式部に」と他の女房たちの前でまひろを贔屓する彰子。自分のことしか考えていないことを反省し、里帰りするまひろを快く送り出すも、たった数日で「藤式部がおらぬと心細い」と宮の宣旨(小林きな子)に頼んで呼び戻してしまう。
これでは女房たちの反感を買うのも無理はない。さらには一条天皇が完成した豪華本を大絶賛し、「これを藤壺で読み上げる会を開いてはどうか」と提案したことで彰子のサロンが始まる。
「日本紀より物語が上」と暗に示す内容に公任(町田啓太)たちがヒソヒソと陰口を叩く中で、「女ならではの物の見方に、漢籍の素養も加わっているゆえか、これまでにない物語になっておる。藤式部は日本紀にも精通しておるしな」とまひろを褒め称える一条天皇。
ますます充実した内裏ライフを送るうちに、まひろの頭からすっかり賢子のことが抜け落ちている様子なのもリアルだ。