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俳優・本郷奏多の俳優としての真価

『光る君へ』第2話より ©NHK
光る君へ第2話より ©NHK

それは決して、見た目だけの話ではない。自身も漫画好きで知られる本郷は原作を重視し、徹底的な役作りでもって自身が演じるキャラに身も心も寄せていく。その仕草から表情、台詞の言い回しに至るまで細部に原作へのリスペクトが溢れているから、原作ファンも安心して観ることができるのだ。

それが、「本郷奏多が演じるなら大丈夫」という確かな信頼に繋がっている。

原作のない作品に関しても、その姿勢は変わらない。他社のインタビューで、本郷が花山天皇について「花山天皇は一見変だけど、純粋で素直」「周りと隔離された狭い世界で育ったがゆえに、物事を広く俯瞰して見ることが苦手で、人を疑ってかかることもないので騙されたり利用されたりしてしまう」と語っていたのが印象的だ。

本郷は、花山天皇をただの変わり者という認識はしていない。自分の心にも素直であるがゆえに取る自由な行動が側から見ると変わって見えたり、それを逆手にとって騙そうとする人間も出てくる、そういう役作りをしている。

だから、奇怪な行動を取っていてもどこかに愛らしさがあるし、「みんな俺から逃げていくのにおまえだけはずっと傍らにいてくれた」と為時に感謝を述べる花山天皇からはこれまで信頼できる大人がいなかったのだろうという物悲しさを感じた。

そのインパクトの強さに目を奪われるが、観ているうちにどんどん奥深さが分かってくる。それが本郷の俳優としての真価であり、彼の演じるキャラクターが多くの人に愛される所以なのだ。

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