当て馬ポジション?
じわじわ人気を集める直秀に注目
兼家は心理戦術に長けた男だ。だが、それは相手から何かしらを奪うことによって実現する。妾である寧子(財前直見)との間に生まれた息子・道綱(上地雄輔)のことも陽気な性格を褒めこそすれ、決して道長たち三兄弟と同等に扱おうとはしない。
その上で「控えめにしていれば、良いこともあるだろう」と期待を持たせ、道兼と同じように、いざという時の捨て駒として取っておく。
家柄や地位が物を言う時代においては、そうして一族の繁栄に努めることも子供たちに対する愛情と言えるのかもしれないが、兼家には心がない。そこがまひろの父である為時とは違うところである。
道長が道兼を殴る姿を見て、「道長にこのような熱き心があるとは知らなんだ」と高笑いした兼家と、道長と会った後、泣いて帰ってきたまひろを心配そうに迎え入れた為時。苦しむ我が子に対する反応も対照的だ。
為時に人の心を捨てることはできない。それが出世できない所以なのだとすれば、なんて理不尽な世界なのだろうか。
まひろと道長の切ない恋の行方はもちろんのこと、二人の間に立つ直秀(毎熊克哉)の存在も気になるところ。度々まひろの家の屋根に現れては、道長のことは諦めろと進言する直秀。
だが、まひろに頼まれ、道長と2人きりで会う手はずを整えてくれるなどお人好しな一面もある。少女漫画で言うところの当て馬ポジションにいる直秀だが、果たしてまひろとの関係は恋に進展していくのか。じわじわと女性視聴者の人気を集めている直秀の動向にも注目したい。
(文・苫とり子)
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