玉置怜央&毎熊克哉”招かれざる者”危険な存在なのに惹かれてしまう理由。NHK大河ドラマ『光る君へ』第8話考察レビュー
text by 苫とり子
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。第8話では、まひろの母を殺した仇・道兼が突然まひろの家を訪れる。誰よりも憎き相手を前にしてまひろは…。今回は、道兼と道兼を演じる玉置玲央を中心に物語を振り返る。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
まひろの家に母の仇・道兼が来訪
まひろ(吉高由里子)の家に招かれざる者、道兼(玉置玲央)が突然訪れる。右大臣・兼家(段田安則)の元に生まれた3兄弟の次男として生まれた彼は昔からプライドが高く、気が短い。弟の道長(柄本佑)に乱暴を働き、まひろの母・ちやは(国仲涼子)を惨殺した張本人でもある。
本作においては、完全に悪役ポジションだ。それなのになぜ、こんなにも心惹かれるのだろうか。
「光る君へ」第8話では、兼家が病に倒れる。娘の詮子(吉田羊)に円融天皇(坂東巳之助)の世継ぎを産ませ、外祖父としてその子を後ろ盾に朝廷で権力を握ろうとする兼家。
そのためには手段を選ばず、道兼を使って円融天皇に毒を盛り、忯子(井上咲楽)のお腹の中にいる花山天皇(本郷奏多)との子を呪詛せよと安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に命じた。本人も彼らに恨まれていることは自覚しているようだが、病に侵されたのはバチが当たったとしか言いようがない。
だが、兼家はしぶとかった。道兼がそばにいる間、彼はパッと目を開ける。おそらく、自分が倒れたことで窮地に陥った右大臣家がそこから脱却する方法を道兼に伝えたのか。道兼がまひろの家に訪れたのは、花山天皇から信頼を寄せられる為時(岸谷五朗)に間を取り持ってもらうためだった。
まひろはこの世で最も憎き相手である道兼の来訪に戸惑いながらも、琵琶の演奏でもてなす。そうすることで今にも取り乱しそうな自分をコントロールしたのだろう。
毅然とした態度にまひろの成長を感じた。