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ブレイク真っ只中の毎熊克哉

『光る君へ』第8話より ©NHK
光る君へ第8話より ©NHK

そんな本作における最重要人物・直秀を演じた毎熊克哉は、今もっともノリに乗っている俳優と言っても過言ではない。連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合)で長谷川博己演じる萬平の塩作りを手助けする“塩軍団”の一人としても注目を浴びたが、ブレイクの兆しがはっきりと見えたのは2020年のヒットドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)だろう。

同作では、ヒロインの新人看護師・七瀬(上白石萌音)を温かく見守る医師の来生を好演。一方で七瀬を巡り、ライバルとなる天堂(佐藤健)に対して宣戦布告するなど、優しさと漢らしさを兼ね備えたその魅力に多くの視聴者が虜になった。

『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系)では一転、大学時代に自分に想いを寄せる後輩を無理やり犯したり、結婚してからも妻以外の女性と関係を持ったり……というクズとしか言いようのない医師役で話題に。

『セクシー田中さん』(日本テレビ系)でも女性への偏見にまみれた発言が目立つ昭和脳男・笙野を演じるも、固定観念を覆すような田中さん(木南晴夏)との出会いを通じ、少しずつ変化を見せていく様を可笑しみを持って演じた。このドラマで毎熊は「第118回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」助演男優賞を受賞している。

4月期からは『好きなオトコと別れたい』(テレビ東京系)でヒロインが別れたくても別れられないダメンズを演じる毎熊。一見その強面な雰囲気を作り出す“目”だけで、彼は威圧感も色気も可笑しみも優しさも出せる。まひろに向ける直秀の少し心配そうな眼差しが忘れられない。それが愛情だということに本人もまだ気づいていなかったのではないだろうか。惜しい人を亡くした。せめて、その魂が山の向こうにある海を越え、彼の国にたどり着いたことを願うばかりだ。

さて、そんな悲しみの裏で兼家は花山天皇(本郷奏多)を玉座から引き下ろす作戦の総仕上げに入り、栄華を極めようとしている。道兼も完全に花山天皇の心を掌握したようだ。まひろと道長が望む正しき世はまだまだ遠い。

(文・苫とり子)

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