ホーム » 投稿 » ドラマ » 松下洸平の忘れられない演技とは? 最も輝いたキャスト&最高の名シーンは? ドラマ『いちばんすきな花』最終話考察レビュー » Page 3

今田美桜、松下洸平らの名演を振り返る

松下洸平『いちばんすきな花』第1話(C)フジテレビ
松下洸平いちばんすきな花第1話Cフジテレビ

 

同時に、俳優陣にも称賛を贈りたい。

個人的にまず名前を挙げたいのは、容姿に恵まれているがゆえに上手く人間関係を築けなくなってしまった夜々を、リアリティを持って存在させた今田美桜。

観ている側に「そうは言っても自分がかわいいって思ってるんでしょ」と思わせてしまったら終わりとなってしまいそうなところを、まったく嫌味なく演じ切った。

相良やナンパ男に絡まれているときの愛想笑いと心底楽しそうに笑っているときのメリハリ、母との確執で涙ながらに想いの丈をぶつける姿が目に焼き付いている。

涙の演技といえば、松下洸平も忘れてはならない。純恋と婚約破棄が決まり、改めて話し合いをしていた際の涙。第3話のレビューでも書いたが、子どもの頃の自分自身が乗り移ったような泣き方、涙の拭い方が忘れられない。

最終話でも引っ越しを終えて家を後にするときに目に涙が溜まっていたように見え、椿はいまどんな思いでいるのだろうかと考えさせられた。気付きを与える、潤んだ瞳だった。

そもそも、現実世界ではなかなかお目にかかれなさそうなあそこまでのお人好しに謎の現実味があったのも、松下だからなせる業だ。演技が達者な俳優はほかにもいるが、ほかの俳優が演じている絵が浮かばない、と思えるところがすごい。

名作ドラマ「silent」チームが再集結するドラマとあって、期待値が爆上がりした「いちばんすきな花」。わかりやすい感動や派手な恋愛の要素はなかったものの、共感できる人にとっては染み渡る作品に仕上がった。

これは“みんな”ではなく、“わたし”に向けられた作品だ。ちょっと疲れたときや立ち止まりたくなったとき、赤い屋根のあの家を思い出して、深呼吸をしたいと思う。

(文・あまのさき)

【関連記事】
神尾楓珠”紅葉”がついに告白…タイミングに込められた深い理由とは? ドラマ『いちばんすきな花』第10話考察レビュー
2023年秋ドラマで最もブレイクしたお笑い芸人は? 勝手にキャスト表彰式。意外な演技力で周囲の見る目を変えた芸人を選出
2023年民放ドラマ、最優秀賞を与えたい俳優&脚本家は? 今年放送された全ドラマから選りすぐりの才能を選出。勝手に表彰式

1 2 3
error: Content is protected !!