「こうかんノート」と「感動ハラスメント」
嫌われないための配慮が自分を傷つけることに
一方、ゆくえは地元で開催された同窓会で、「こうかんノート」をするほど仲のよかった面々に再会するも、そのうちの1人の結婚式に自分だけが招待されていなかったこと、そもそも結婚することすら知らされていなかったことを知る。いくらゆくえがSNSをやっていないとはいえ、ひどい話だと思う。
その夜、実家に帰って探してみても、ゆくえの家にはたった1冊の「こうかんノート」も残っていなかった。彼女は周囲に気を遣えばこそ、ノートが回ってきたら止めることなく次の人に回していた。それくらい嫌われないよう配慮していたにもかかわらず、ゆくえの友情は裏切られた。
夜々は、友人の結婚式には呼ばれていた。でも、新婦が両親への手紙を読んでいた場面を、一緒に参列した友人たちが帰り道で「感動ハラスメント」と揶揄したことで表情を曇らせる。夜々は建前でもなんでもなく、純粋にその場面に感動していたから。それなのに、彼女は友人たちのノリにあわせて頷くしかない。