「好き同士が両想いとは限らない」
今日も今日とて、椿の家にゆくえ、夜々、紅葉が集合した。するとそこへ、純恋(臼田あさ美)が訪ねてくる。彼女は椿と話がしたいという。そもそも一時は結婚までしようとしていた2人だ。決定的な出来事があったとて、電話1本で「はい、さようなら」というのもなんだか違う気がする。
気持ちを問われた椿は、自分の気持ちと純恋との関係を言葉にしていく。もう純恋との“次”はないから、椿は驚くほど饒舌だ。そして、「両想いは好き同士のことだけど、好き同士が両想いとは限らない」という言葉に、すべてが詰まっていた。
椿も純恋も、いわゆる適齢期の男女が結婚相手として、お互いを悪くないと思っていたからこそ、“好き”というパッケージに当てはめて満足していた。そこに椿でなければならない理由、純恋でなければならない理由は、存在していなかった。
だから婚約を破棄されても、椿はどこか飄々としていられたのだ。もちろん「怒ってるし、悲しんでるし、悩んでる」けど、それを隠すことができた。ある種、理性的に。
純恋は椿の話を「分かりにくい」と言ったが、きっと身に覚えのある人も多かったのではないだろうか。