純恋の気持ちは共感できるか?
子どもの頃から花を廃棄することが苦手だった椿は、弟の楓(一ノ瀬颯)が持ってきたすでに痛みはじめている花束を純恋に渡す。「明日には枯れてしまうかもしれないけど」と言い添えて。
純恋はその花束を受け取り、帰り道のゴミ捨て場に転がっていた瓶に生けた。手を合わせて拝む様は、椿への気持ちを葬る儀式みたいだった。
彼女が椿に浮気をしたと告白したのは、椿の本心が見えないことに対する打開策だったように思う。実際、それをきっかけに2人の婚約はあっさり解消となり、椿の本心を聞く機会を得たし、結果的に純恋は「椿くんの感情を奪っちゃわなくてよかった」と寂しくも安堵の笑顔を浮かべていた。
「純粋な恋」と書いて、純恋。彼女の椿に対する気持ちに、たしかに不純物は混じっていなかったようだ。