変幻自在な神尾楓珠
繊細ながらも地に足のついた表現
それにしても、改めて神尾楓珠は様々な役を演じていることに驚く。『ナンバMG5』(フジテレビ系)のような硬派なヤンキーから、映画『恋は光』(22年)の特異体質を持つ変わり者の大学生、『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)で見せた腕っぷしはいいがどこか不器用で優柔不断な大工…。
若手イケメン俳優の筆頭でありながら、王道の主人公ではなく、いつも繊細な表情を浮かべつつ地面に足をつけ、作品にすっと馴染んでいる。弱冠24歳にして、この経験値。先が楽しみでも恐ろしくもある俳優だ。
さて、『いちばんすきな花』も早いもので5話まできた。4人の男女の友情を描く物語は、世の中で「自分だけがおかしいのかも」と思ってしまいがちな人に焦点が当てられているように思う。万人ウケする作品とは少し違うため、一部では賛否も分かれているようだ。
だけど、少数派と多数派の分断を深める内容にはなっていない。ある意味繊細すぎる4人の主人公が、考えすぎだったり自意識が強すぎたりする事実を突きつけられる描写もある。
例えば前回の夜々と母のすれ違いが意外にあっさり解決したり、紅葉の「優しいフリ」を篠宮が気付いていたらしいこともそうだ。4人の男女の友情が成立するか否かを問いかけるこの物語が何を描こうとしているのか、最後まで見届けたい。
(文・あまのさき)
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