面倒くさいけど愛おしい…
オンリーワンの物語
『かぞかぞ』はとある家族をテーマにした作品でありながら、その中身を紐解いてみれば、“母と娘”の物語であり、“娘と父”の物語であり、“息子と父”の物語であり、第1話のような“姉と弟”の物語にもなっている。
「今さら当たり前なことを」と笑うかもしれない。けれど、自分の居場所は案外見えづらいものだ。岸本家の物語を通して、私は、私の家族のことを改めて見つめ直せた気がしている。
「家族の死、障がい、不治の病。どれかひとつでもあれば、どこぞの映画監督が世界を泣かせてくれそうなもの。それ全部、うちの家に起きてますけど?」“事実は小説よりも奇なり”を体現した岸本家の日々は、予想だにしなかった出来事の連続だ。同じように見えていたけど、同じではないから、複雑で、むずかしい! 面倒くさいけど愛おしい!! オンリーワンの物語がこの夏、ふたたび幕を開ける。
(文・明日菜子)
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