ホーム » 投稿 » ドラマ » 感動のラスト…NHKドラマ『かぞかぞ』が最後に紐解いた錦戸亮”耕助”の物語とは? 最終回考察レビュー » Page 3

「見とけよ世界、この家族と笑いつづけてやる」

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』最終話 ©NHK
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』最終話 ©NHK

 大好きな家族を残して早くに亡くなった耕助を、“不幸”と憐れむ声もあるかもしれない。だからこそ七実たち家族は「頑張りすぎた」「よう頑張ったな」と言いながら、耕助から“不幸”のレッテルを剥がしていく。一方的に“悲劇”とラベリングした世間に対し、圧倒的な文章力で抗おうとした、かつての七実の姿が重なった。

 そう、『かぞかぞ』は、岸本家が心無い偏見を一方的に向けてくる世間と戦う物語でもあったのだ。買い戻したボルちゃんは、父の死に縛られながら生きていくという意味ではない。父の想いも思い出も全部抱きしめて、自らの人生を歩んでいくことを選んだ七実の意志そのものだ。

 そして七実は世の中に改めて宣戦布告する。「見とけよ世界、この家族と笑いつづけてやる」と。

 愛おしくて、面倒くさくて、でもやっぱり愛おしい!そんな岸本家の物語を演じきった河合優実、坂井真紀、錦戸亮、吉田葵、美保純にあらためて拍手を送りたい。同じようで、同じではない。似ているようで、似ていない。愛と面倒くささが混在する繊細で複雑な “属”に、私たちは何度も頭を悩ませ、何度も助けられるのだろう。

 そして家族に想いを馳せるとき、ふたたび思い出すだろう。赤いボルちゃんで駆け抜けた岸本家の物語を。

(文・明日菜子)

【関連記事】
【写真】河合優実率いる岸本家涙の最終回…。劇中写真はこちら。ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』劇中カット一覧
結末はどうなる?“修羅場”から一転、草太の成長に心が震えたワケ。 NHKドラマ『かぞかぞ』第9話考察レビュー
映画のような美しさ…河合優実”七実”の愛に満ちたセリフとは? NHKドラマ『かぞかぞ』第8話考察レビュー

1 2 3
error: Content is protected !!