錦戸亮”耕助”の登場に胸が痛む…心に沁みる祖母の名言とは? NHKドラマ『かぞかぞ』第3話考察レビュー
text by 明日菜子
河合優実主演のNHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が地上波にて放送中。岸田奈美のエッセイを元にした本作は、2023年にNHKBSプレミアム・ NHKBS4Kで放送され大反響を呼んだ。今回は、第3話のレビューをお届け。(文・ 明日菜子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:明日菜子】
視聴ドラマは毎クール25本以上のドラマウォッチャー。文春オンライン、Real Sound、マイナビウーマンなどに寄稿。映画ナタリーの座談会企画にも参加。
「嫌い」は愛情の裏返し
「パパなんか死んでまえ」
主人公の七実(河合優実)は、中学のとき、父・耕助(錦戸亮)にぶつけたこの一言を未だに悔いている。この直後に父は倒れて、帰らぬ人になってしまったからだ。やっと仕事から帰ってきた父に、話を聞いてほしかっただけだった。
もし体調が悪いと分かっていたならば、そんな言葉は出なかったのに。父の寿命が残りわずかだと分かっていたならば、草太(吉田葵)のように「大好き」を伝えられたはずなのに。
「あえて“嫌い“と言う、つまり好きってことですか?」
これはマルチ(福地桃子)が別シーンで発したセリフだが、「死んでまえ」という酷い言葉もまた、父親への愛情の裏返しである。つまりは“好き”ってことなのだ。
しかし、七実に謝るチャンスは与えられなかった。草太には亡くなった耕助の姿が今も見えているが、“娘”と“父”の物語は、あのときから一向に進まないまま。「パパなんか死んでまえ」という一言は、なによりも七実自身に呪いをかけている。