なにもかもが昔とは決定的に違う
数年ぶりの沖縄は、やっぱり楽しかった。遠出することを不安がっていたひとみも、すっかり沖縄ムードになっており、サングラス+アロハシャツ+レイのフル装備。
水族館にはバリアフリーが施されており、車椅子でも楽しむことができた。怖くて乗れなかったグラスボートにもリベンジすることができた。
けれど、なにもかもが昔とは決定的に違う。母はもう自分の足で歩くことができない。そしてなにより、楽しそうに笑っていた父がもういない。七実とひとみは、家族5人で訪れた思い出が詰まったビーチで、改めて現実を突きつけられることになる。
それぞれの想いを抱えながら沖縄から帰ると、祖母・芳子(美保純)が大阪で買ったらしいお得用パックのちんすこうを抱えていた。沖縄旅行を頑なに拒否していた祖母は、身近な場所で沖縄気分を味わっていたのである。
(変わらんでええ。昔もええ、今もええ。一生懸命食べて、一生懸命生きてれば、それでええ)
ちんすこうを頬張りながら、芳子は心の中でそう呟く。それは「楽しかった昔に戻りたい」「そのためにも頑張らなければいけない」と気を張っていた母と娘が、今一番ほしい言葉だったのかもしれない。
(文・明日菜子)
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