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岸本家に吹いた新たな風

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第4話 ©NHK
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第4話 ©NHK

 母・ひとみ(坂井真紀)の気持ちも、塞ぎ込んだままだった。あの生死を分けた大手術のことを思うと、奇跡的な復活を遂げたものの、当たり前に出来ていたことが“出来ない”という現状が、何度もひとみを苦しめた。なによりも彼女が気にしていたことは、健常者が向ける憐れみの視線。

 病院以外の外部との交流を極端に避けた。おそらくダウン症である草太(吉田葵)を通して、世間が障がい者にどのような視線を向けるのか、痛いほど分かっていたから。そしてひとみ自身も少なからず、草太のことを「かわいそう」と思った経験があるからだ。

 しかし、そこで立ち止まったままではないのが岸本家。いつの間にか窮屈になってしまった母と娘の関係に、新たな風が吹くのである。

 ひとつは、車椅子ユーザーである首藤(丸山晴生)が立ち上げた、ユニバーサルデザイン会社『Loupe』との出会い。社会に足りないものを当事者目線で発信し、大学生の立場でありながら、企業コンペにも参加している。

 首藤を演じる丸山自身も、不慮の事故で脊髄を損傷し、ある日突然車椅子生活が始まった一人だ。「僕にはこの街は不便です」と大勢に訴えかけるシーンにも緊張感があり、より一層の想いが乗っていた。

 大学の講義よりも『Loupe』の方が、母を笑顔にさせる社会に一歩近づくのではないか。首藤のプレゼンテーションで感銘を受けた七実は、すぐさま雇ってほしいと直談判。試しにホームページの作成を頼まれるのだが、類稀なる文章力を発揮して、『Loupe』の一員とて活動することになるのだ(そういえば七実は高校生の時に長崎の男子になりすましてクラスの一軍女子とやり取りをしていたな…)。

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