手を貸す側は少し肩の力を抜くことも必要
この第4話では、サッカーボールを持って立ち尽くしていた草太が、学校の花壇を荒らしてしまったのではないかと疑いをかけられる。用務員のおじさんは草太がやってしまったことなら仕方ないと怒らなかったものの、草太自身は「やっていない」と主張。
実は犯人は逃げてしまったのだが、現場を目撃していた草太はその事実を伝えようと、一人で待っていたのである。誰になにを言われても自分の信念を曲げない姿に、ひとみは勇気をもらう。草太もずっと“世の中”に対して戦いつづけてきたのだ。
草太が頑なだった母の心を和らげた理由の一つに、“気負いのなさ”があるだろう。草太にあったのは「ママにしてあげな」ではなく「ママにしてあげたい」という想い。たとえば、外から帰ってきた車椅子を拭いたり、代わりに荷物を受け取ったり。七実のように豪華な沖縄旅行や大学進学のような決断ではなくとも、草太は草太なりに出来ることをコツコツと積み重ねてきた。
その後、意を決したひとみは『Loupe』の一員としてコンペに参加する。プレゼンテーションで語っていた「大切なのは困っている人が答えやすくする」ということは、その好意を受け取りやすくするという意味でもあるのだろう。だからこそ、手を貸す側は少し肩の力を抜いて、草太のようにありのままの自分で接することが必要なのかもしれない。
かといって、母の力になりたいと常々思っている七実が、肩をブンブン回して張り切ってしまう癖は、なかなか治らないだろう(それが七実の良いところ!)。また行き詰まったときは、誰かがバランスを取ればいい。きっとそれが“家族”なのだから。
(文・明日菜子)
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