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”社会人編”が辛すぎる…錦戸亮”耕助”のラストシーンが必見のワケ。NHKドラマ『かぞかぞ』第5話考察レビュー

text by 明日菜子

河合優実主演のNHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が地上波にて放送中。岸田奈美のエッセイを元にした本作は、2023年にNHKBSプレミアム・ NHKBS4Kで放送され大反響を呼んだ。今回は、第5話のレビューをお届け。(文・ 明日菜子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:明日菜子】

視聴ドラマは毎クール25本以上のドラマウォッチャー。文春オンライン、Real Sound、マイナビウーマンなどに寄稿。映画ナタリーの座談会企画にも参加。

亡き父・耕助の後悔

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第5話 ©NHK
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第5話 ©NHK

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合)第5話は、“娘”と亡くなった“父”の物語で始まった。近年放送されたドラマの中にも、娘と父をテーマにした作品はいくつかある。

 例えば、作家ジェーン・スーのエッセイを実写化した『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京、2021)では、長年迷惑をかけられてきた父親との関係を見つめ直し、『しずかちゃんとパパ』(NHK総合、2022)は、コーダ(聞こえない親を持つ子ども)である娘が難聴者の父から巣立つ過程が描かれた。

 今年放送された『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系、2024)は、3ヶ月の余命宣告を受けた父親と、3ヶ月後に結婚式を迎える娘の限られた時間の中で紡がれた物語になっている。いずれのドラマも傑作だ。

 作品によって程度の違いはあるものの、娘と父の物語と聞くと、「世話をかける父」と「しっかり者の娘」の構図が目に浮かぶ。『スカーレット』(2019)や『おちょやん』(2020)など、一時期はNHKの朝ドラでも“娘に迷惑をかけるダメなお父ちゃん”が定番だった。けれど『かぞかぞ』は、喧嘩別れになった父との最期を悔やみながら生きる娘の姿が描かれている。

「七実、ごめんな。ちょっと寝たら元気になるって思っててん。また朝になったらバカ話できるって思っててん」
 
 今回の第5話では、亡くなった父・耕助(錦戸亮)の後悔も明かされた。この「ごめんな」は、かつて中学生だった七実(河合優実)を「うっとうしいな」と突き放してしまったことへの懺悔だが、その想いを伝えられないまま父は亡くなった。大人になった七実はいまも、自分を責めつづけている。

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