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錦戸亮の芝居に圧倒されたワケ。 父娘の掛け合いが素晴らしい…NHKドラマ『かぞかぞ』第6話考察レビュー

text by 明日菜子

河合優実主演のNHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が地上波にて放送中。岸田奈美のエッセイを元にした本作は、2023年にNHKBSプレミアム・ NHKBS4Kで放送され大反響を呼んだ。今回は、第6話のレビューをお届け。(文・ 明日菜子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:明日菜子】

視聴ドラマは毎クール25本以上のドラマウォッチャー。文春オンライン、Real Sound、マイナビウーマンなどに寄稿。映画ナタリーの座談会企画にも参加。

父・耕助の夢が七実をどん底から掬い上げる

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第6話 ©NHK
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第6話 ©NHK

「信じるって、ときどき呪いみたいにもなりますよね」

 第5話でひとみ(坂井真紀)と久しぶりに再会した耕助(錦戸亮)の元部下・由良(早織)のセリフが頭の中でこだまする。「信じる」という真っ直ぐで無垢な想いは、ときに誰かを奮い立たせ、ときに誰かを縛るものにもなり得る。会社を引き継いだ由良も、耕助の無事を信じつづけ、覆されたあの日から、時間が止まった一人なのかもしれない。

 耕助の存在が呪いのようになっているのは、娘の七実(河合優実)も同じだ。半生を語ったインタビュー記事につけられた「悲劇だらけでも大丈夫」という文言で、心の傷を自覚してしまった七実は、とうとう会社に行けなくなってしまう。その傷を長年覆い隠していたのは「大丈夫」という言葉。

 辛いときには何度も自分に言い聞かせ、大好きな父からの「七実なら“大丈夫”」という言葉に、いつしか締め付けられていた。かわいそうだと思われないように“大丈夫”な自分でいなければ、と。

 だが、シャットダウンした七実の扉を開けたのも、耕助が残した言葉だ。

「俺の家族の物語を紡ぎたい。文才はない。誰かに書いてほしい。ひとみのやさしさ、草太のかわいさ、七実のおもしろさ、俺のすごさ。4人合わされば、最強で最高な岸本家のことをいつか誰かに書いてほしい。(それで映画とかドラマになっちゃったりして)」

 由良から託された手帳で耕助の夢を知り、七実は草太(吉田葵)と遊園地に行った日のことを書き始める。かつて父が「七実の友達はこのパソコンの向こうにいくらでもおる」と教えてくれたインターネットという“居場所”で。閉じかけていた父との物語を再び開いたとき、七実は初めて亡き父の姿を目にするのだ。

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