他人に貼られた「悲劇」のレッテルを張り直す
草太のことを綴った「どん底まで落ちたら、弟が光り輝いて見えた」は、瞬く間に大バズりした。独特な切り口から語られる岸本家のエピソードは次々にバズり、編集者・小野寺(林遣都)の目に留まった七実は『Loupe』をやめて、作家業に専念する。
「家族だけで抱え込んでたら“悲劇”って呼ばれることでも、人を笑わせたら“喜劇”にできるかなって思ってん」
七実曰く作家業は「家族を自慢する仕事」だという。それは、亡き耕助が望んだ「まだ誰もしたことがない仕事」であり、七実にとっては、世間が勝手につけた「かわいそう」「悲劇」というレッテルを自ら貼り直す作業でもあるのだろう。家族の物語を自らの言葉で紡ぐことで、七実は亡き父と、そして母と弟と向き合おうとしている。
次回からはいよいよ作家・岸本七実編がスタートする。海の底に沈んでいくような音はもう聴こえてこない。その代わりにあの沖縄の海を思い出すような波のさざめきが、岸本家を優しく包み込んでいた。
(文・明日菜子)
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