家族はすべからく“めんどくさい”
またもや大ピンチが襲いかかってきた岸本家。ふと頭によぎったのは、編集者・末永(山田真歩)の家族論である。
「人間って必ず人間から生まれてくるじゃないですか。そんで生まれた途端、好むと好まざるとに関わらず、大抵の人間が家族という集合体に属させられるわけで」
そう。大抵の人間は、家族という集合体に属さざるを得ない。抜け出す権利は誰にでもあるが、簡単には手放せないからこそ、家族はすべからく「めんどくさい」のだ。
だからこそ、家族間で行き詰まりを感じたとき、その集合体以外の場所に身を置くことが必要なのではないだろうか。マルチ(福地桃子)が弱っていた魚を一時的に別の水槽へと移していたように。
例えば、七実にとっては、「ALL WRITE」の小野寺(林遣都)、「Loupe」時代から付き合いがあるテレビプロデューサーの二階堂(古舘寛治)や末永。暴走しがちな七実に苦言を呈してくれるマルチ。カフェでアルバイトを始めた草太にも、新しい仲間ができた。
ときには別の拠り所に身を置き、ときには別の場所から家族という集合体を見つめ直すことが、その関係性をより長く、より持続しやすくするコツなのだろう。家族以外のつながりを持つことの大切さは、家族の愛おしさやめんどくささを描きつづけてきた『かぞかぞ』が、七実たちと関わる全ての人々を通して、繰り返し伝えつづけてきたことだ。
ひとみの手術は奇跡的に成功するものの、芳子の症状が止まることはない。家族の名前も積み重ねてきた思い出も、いつか忘れてしまう日がくるかもしれないけれど、ひとみちゃん」と娘の名前を呼ぶ声だけは、変わらず愛に満ちていた。
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