恋愛市場における中間層のリアルさ
『女芸人No.1決定戦 THE W 2019』でチャンピオンに輝いた3時のヒロインを率いる福田が演じているのは、愉快でおかしくもダメダメな33歳独身女性。ひょんなことから、幽霊とともに婚活に励んでいくのだが、遊び目的の男性に引っかかってしまったり、トントン拍子で結婚が進みそうになると怖気づいてしまったり……と、恋愛における“あるある”を、体当たりで表現している。
SNS上でも、「福田さんリアルでイイ。現実にいそうな女子」「キラキラした美人な女優さんがこういう独身女性役やるよりも福田麻貴の雰囲気でやるほうがたぶん見ていてもリアルなんよな」「主役が美人でもブスでもない普通の一般女性って所が福田ちゃんにはまってて良い」などと称賛の声が上がっていたが、ヒロイン・綾子に共感が集まっているのはやはり福田の功績が大きい。
福田は、ビジュアルを武器に仕事をしているわけではないにも関わらず、バラエティ番組を見ていると、「モテそうだなぁ」と思う瞬間が多々ある。色気を感じさせるゆったりとしたしゃべり方や、相手を包み込むような優しい笑顔。百戦錬磨とまではいかないかもしれないけれど、モテる人の雰囲気を纏っているのだ。そんな福田が、「自分に似ている」と語る綾子は、恋愛市場における中間層に位置している。
誰からも相手にされないわけじゃないけれど、好きになった人には好かれない。向けられた好意をすべて疑ってしまうほど卑屈にはなっていないが、自らガンガンアピールしていけるほどの自信はない。
ときには、「ハイスペ男性に求婚されちゃうかも?」なんて意気揚々と語ってみたり。かと思えば、「もしかしたらこのまま一生独身なんじゃないか」と不安に苛まれてみたり。チグハグな感情に振り回されているところが、とてつもなく“リアル”なのである。