第9話で明らかになった律との思い出
また第9話では、まことと律が過去に交際していたことが明らかになった。
「1年記念だから」と大きなバラの花束をプレゼントしてくれたこと。「金魚すくい、好きかも」と言ったら、すごく嬉しそうに微笑んでくれたこと。恋人繋ぎをして微笑み合い、水族館の水槽の前でキスをしたこと。そして、「好き」と言われて、「私も」と返したこと。まことは、律との思い出をすべて忘れていたことに、ようやく気が付いた。
では、なぜ律はまことと初対面のフリをしたのか。もしも、交際している最中に、まことが記憶を失ったのなら、「俺たち、付き合っているんだよ」と言えばいいはず。メンタルクリニックの井口夫妻のように、相手のためを思っての優しい嘘…という可能性もなきにしもあらずだが、だとすれば「(記憶が戻っても、戻らなくても)どっちも困るんだよな」と言っていたことの辻褄が合わなくなる。
やっぱり、律はまことが記憶を失う前に、振られた“元カレ”なのではないだろうか。そして、変な別れ方をしてしまった。その後も律はまことのことを引きずっていたので、記憶がなくなったと聞き、“出会い直し”を画策した。
だから、記憶が戻っても(=嫌な記憶を思い出させてしまうから)、戻らなくても(=楽しかった記憶まで消えてしまうから)、どっちも困る。