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智の背中を押した”キーワード”

『マル秘の密子さん』第2話 ©日本テレビ
『マル秘の密子さん』第2話 ©日本テレビ

 さらにエスカレートしていくパワハラ。九条家の長男・遥人(上杉柊平)が使おうと思った重要なデータの消失まで、智が責任を負わされることになってしまう。夏はこれをなんとかフォローしようとするも空回り。そんな母を見た智は、「もうやめてくれよ」と声を荒げた。

 もちろん、これは智の本心なんかではない。母である夏に感謝をしているのに、八つ当たりをしてしまっただけ。そんな心情を、地下倉庫での“死の疑似体験”で吐露していく。やりたいことやればよかった、嫌な奴をぶっ飛ばせばよかった、母さんを大事にすればよかった…そう言って涙を流す。これを聞いていた密子はまたしても「あなたが変われば、世界は変わるから」と、智の背中を押すのだった。

 そのころ、夏は遥人に呼び出され、息子のミスの責任を取って株を譲渡するよう迫られていた。もちろん森山の姿もある。そこへ智が飛び込んできて、母は無関係であり、そもそも森山がウソをついていると発言する。そして、自分に責任があるのだとしたら、上司である森山にも責任があるのだから、2人で責任を取ることを提案。自分にとって大事な人だから、と夏のことを守ってみせた。

 密子のサポートで変わることができた智。キーワードとなったのは、名前だ。森山の言う“ケイヤくん”を、智はついに訂正し、母がつけてくれた大切な名前だと言った。周囲からどう呼ばれるかはその人の尊厳にかかわる問題ですらある。智は、森山の悪意によって奪われ続けていた自分の尊厳を取り戻した。

 そもそも森山が大きな顔をできていたのだって、“九条家”という後ろ盾があったからだ。それを遥人によって奪われた森山は、もはや見る影もなかった。社員から“墓場”と言われていた地下室だったが、夏は居心地の良さを理由に“特別役員室”にしたのだってそう。名前が変われば見え方も大きく変わる。

 その場所の景色を闇とするか光とするかも、結局は自分次第。密子のアドバイスで前髪を上げた智の視るこれからの世界は、きっと少しずつ明るくなっていくはずだ。

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