福原遥・志田彩良・吉柳咲良
若手女優の三つ巴戦
本作スタート時より密子としてダークな表情を見せ、視聴者を楽しませていた福原遥。これまで聡明な役柄が多い印象だったが、わがままなご令嬢・玲香として新境地を見せる志田彩良。3話ではそこに彩を演じる吉柳咲良が加わり、若手女優の三つ巴戦といった様相を展開する。
吉柳といえば、弱冠12歳にしてミュージカル『ピーター・パン』の10代目ピーター・パン役に抜擢された実力者。以降も映画デビュー作『初恋ロスタイム』(2019)でヒロインを演じ、『ここは今から倫理です。』(NHK総合、2021)、『星降る夜に』(テレビ朝日系、2023)などに出演してきた。直近ではミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でジュリエットを演じたことでも話題に。高い歌唱力とダンスで培った軽やかな身のこなしは一見の価値がある。
夏を裏切らないかと遥人に誘われ、密子はさもまんざらでもなさそうに振る舞う。腹の内が見えない笑みを湛える様子が、回を重ねるごとに板についてきた。どんな選択をしたところで、密子には1枚上手をいかれてしまいそうだ。
また、福原は声色の変化も素晴らしい。味方として安堵させたいときと、相手を煽るときで器用に使い分けられている。特に遥人から依頼を受けたときの、溜めをつくってからの「お任せください」には背筋を冷たいものが走った。
対する玲香は、ここが遥人を出し抜くチャンスといつも以上に気合十分。実の兄に対しバチバチに火花を散らし、兄に肩入れしている感のある母、そして九条開発の会長であり裏で実権を握っている五十鈴(小柳ルミ子)に自身の有能さをアピールしようと必死だ。声を荒らげ、部下たちに指示を飛ばす志田の姿は新鮮に感じる。整った顔つきが、逆に恐怖を増幅させていく。