密子が変えた夏が、今度は密子を変えていく
その理由と密子の過去が明らかになったのは、九条開発で暴れた丈晴に密子が薬を盛り、拉致・監禁したときのこと。薬の影響で思うように動けない丈晴を前に、たくさんの拷問道具をちらつかせ、闇落ちしたかのように見えた密子だったが、形勢が逆転する。
きっかけは丈晴の「おびえ切ったガキの目だ」という言葉。密子には、親からひどい虐待を受け、姉とともに児童養護施設に逃げ込んだ過去があった。そしてその姉こそが、九条開発の元秘書で、火災事故で亡くなった小原鞠子(泉里香)だったのだ。
「ぶっ殺してやるからな!」と叫ぶ丈晴に、自身の父が重なり恐怖する密子は、「助けて、みっちゃん」という鞠子の声を聞き、ナイフを振りかざした。
間一髪で夏が駆け付けて、密子を止める。夏は、愛した人を思い出してと密子を諭すが、密子にはもう、愛した人も愛してくれた人もいなかった。自分の苦しみを吐露する密子に、「あなたの分まで痛がるから」と寄り添う夏。
そして「あなたが変われば、世界は変わる…そうでしょ?」と、密子が変えた夏が、今度は密子を変えていく。夏が密子にかけたねぎらいの言葉は、きっと密子が鞠子に言ってほしかったものと同じだろう。
鞠子はもういないけれど、密子は1人じゃない。年の離れた2人の美しいシスターフッドに、涙を誘われた視聴者も多かったはずだ。