夏が犯人はミスリード?
これまで、福原遥や上杉柊平、清水尋也ら若手俳優陣の演技合戦が繰り広げられてきたが、ここへきて一気に疑惑の目を向けられた夏を演じるベテラン・松雪泰子の怪しげな演技が光る。
特に、密子に対しての「部外者」や、カメラの映像について問われたときの「社長にしてくれてありがとう」という言葉の冷たさは圧巻だった。終盤の見せ場として、最高の盛り上がりとなっている。
一方で、これまでなかなか人前に出ることをせず、損をすることの多い人生だったと子どもたちにまで言われる夏が、自分の利益を追い求め謙一を助けたり、密子を利用していたりといった展開はあまり考えたくない。
いや、そもそも人物像が一致しないような気がするのだ。真面目に生きてきた夏が、一発逆転を狙って九条開発の社長が視察に来る工場に放火し、現場から社長だけを助けるなど、果たしてするだろうか。自分の人生に嫌気が差していたという素振りも見られなかったと思うのだが、もしやそれすらも演技であったということか。
ただ、そうなると夏の夫が火事現場から立ち去る遥人を目撃したと証言したことで突き落とされたこともなんだか違和感が残るのだ。もし仮に夏の裏に糸を引いている人物がいたにしても、夏にとって疑いの目が遥人に向くのは好都合であるはずだからだ。