夏が密子を遠ざけていた理由
顕著だったのは、しびれを切らした密子が、夏にペーパーナイフを向けたときのこと。言葉尻こそきついものではあったが、「姉を殺したんですか?」と問いかける瞳は、怒りよりは哀しみの色が濃かった。その様子を見ていた遥人は、密子を抱き締め、傷付いていることを自覚するよう促す。
これまで鞠子(泉里香)の死の真相を突き止め、復讐することを生き甲斐にしていた密子。最初こそ復讐のために夏を利用する、くらいの気持ちだったのだろうが、きっと鞠子にも通じるだろう夏の優しさに触れ、密子は変わったのだ。遥人がこのことを密子に諭せたのは、自分自身も密子によって変わることができたから。
密子に想いを寄せていた智(清水尋也)だったが、彼の計らいにより、遥人こそ鞠子を助けた“レモン”の人であったことが明らかになる。かき氷を挟んで話す2人の関係も変わっていく。そして、夏の見方を変えることで、違うものが見えてくるのではないか、という考えが浮かぶ。
すると、鞠子はたしかに「助けて!」と叫んでいるが、それは自分自身ではなく謙一(神保悟志)のことだったのではないか、さらにいえば、夏は密子を守るために密子を遠ざけている可能性もあるのではないか、と思いいたる。
先入観を持って物事を見ることの危険性を示唆しているようだ。
社長室を捜索する密子と遥人。途中、夏が戻ってくるのではないかと肝を冷やす場面もありつつ、火事の犯人と思われる人物からの脅迫文を見つけた。密子を危険な目に遭わせたくない、その一心で夏は密子を遠ざけ続けていたのだ。