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視聴者が観たいものに当てはめて作るやりかたはもうフィットしない

『パーセント』第4話より ©NHK
『パーセント』第4話より ©NHK

 ハルから出演の了承を得たものの、未来の企画は編成局長・長谷川(水野美紀)へのプレゼンをなかなかパスできずにいた。なまじ、未来は自分自身がかつてドラマに救われた経験がある。だからこそ、ドラマは現実逃避させてくれるものであってほしいという思いが人一倍強かった。ゆえに、長谷川がこのドラマに期待する「誰もがマイノリティでありマジョリティであることを突きつける」こととは相容れなかった。

 「人間を描く意識が欠如している」「彼女(ハル)たちの身体や生きざまに、ペラペラの物語を貼り付けるのか」と辛らつな言葉が飛ぶ。障害者を主人公に据えることに対して、未来がまだまだ当事者意識を持って踏み込めていないことが指摘される。

 未来が自分なりの答えを模索していく様子を、女性の新人プロデューサーという立場の“弱さ”のみを強調することなく描いていく。彼女は迷いや戸惑いを抱えながら、時に周囲の人に対する配慮を欠いた言動も取ってしまう。未来を演じた伊藤万理華は怒りや戸惑いだけでなく、無自覚に人を傷つけたり、生気を失ったりする様を躍動感を持って表現した。

 最終的に「視聴者だとして、これを観たい?」という言葉にヒントを得て、未来は与えられたテーマの上に自分の色を塗り足し、ドラマを再構築していく。未来が観たいのは“かっこいいハルちゃん”。

 ハルが演じる主人公をスクールカースト下位の冴えない女子高生にするのではなく、むしろ一軍女子にすること。そしてそれは、障害者を弱者だと決めつけていないか?という、この作品の大きな問いへと繋がる。

 未来のセリフにもあったように、元来テレビは視聴者が観たいと思うものを型にはめてつくってきた側面がある。多様化する社会において、それはもうフィットしない。

 例えば車椅子ひとつとっても、ハルは誰かに押されることを「お世話されているようで嫌だ」と言ったが、他の車椅子ユーザーは「羨ましい」と言った。ものの捉え方は人の数だけあるといっても過言ではない。

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