2人の中心にはいつもルカがいる
高齢の父・康平(浅野和之)を、賃貸部分に住まわせるために、「この家を出て行ってほしい」と楠見親子に告げた西園寺さん。
しかし、本当は嘘だった…というのが、康平の口から明らかになる。二拠点生活をするつもりはないにしろ、そんな嘘をついたらすぐにバレてしまうのでは? と思うが、詰めが甘いところもまた西園寺さんの魅力のひとつなのかもしれない。
しかし、西園寺さんと楠見くんの間に恋愛感情が芽生えてしまった以上、“偽家族”を終わらせるしかないのは、仕方がないことなのだろう。西園寺さんは自分の母が、家族以外の人と恋をしたことにショックを受けた経験があるため、ルカの気持ちも痛いほどよく分かるのだと思う。
西園寺さんと楠見くんが本当の夫婦になれば、“偽家族”というか、本当の“家族”になれるのに…と思ってしまうが、2人の中心にはいつでもルカがいるのが、本作の素敵なところだ。西園寺さんも楠見くんも、いちばんにルカの意志を尊重しようとしており、1ミリたりとも邪魔者扱いをしたりしないところがいい。