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身の丈に合った生活を模索する西園寺さんの粘り強さ

『西園寺さんは家事をしない』最終話より ©TBS

『西園寺さんは家事をしない』最終話より ©TBS

 思い返せば、「家族じゃない人に甘えるのは変だ」と言う楠見くんのために始まった“偽家族”生活。すると、これまで他人に甘えることができなかった楠見くんが、“偽”とはいえ家族だから…と西園寺さんに、ルカの子守りや家の用事をお願いできるようになった。最初は、名前をつけたからこそ上手くいっていたはずだった。

 でも、日が経つにつれて、また違う問題が生じていく。これは、“偽家族”以外にも当てはまることだ。いいと思って進めていたものが、急に身の丈に合わなくなったり、逆に、合わないと思っていたやり方が、しっくりきたりすることだってある。人は、変わっていくものだから。

 そこで、すぐにブラッシュアップできるのが、バリキャリ・西園寺さんの凄いところだ。「今までは偽家族がしっくりきていたのに、どうして合わなくなってしまったんだろう…」なんて、クヨクヨしない。すぐに前を向き、新たな形を作ろうとする。

 偽大奥、偽大家族特番、偽修学旅行、偽リゾートバイト、偽日本代表…。さまざまな“形”を試してみたものの、なかなかしっくりくるものはない。これはもう、偽ではなく本物の“家族”になるしかないのでは? と思った人も多いだろう。

 まさか、関係性に名前をつけたことで始まった3人が、名前をつけない、形にとらわれない…という結論にたどり着くとは、思ってもみなかった。

 楠見くんは、「僕たちはただ、好きな人と安心して食べて、眠って暮らしたい。ただ、それだけなんで」と言っていた。それは、西園寺さんとルカにも共通する願いだ。ならば、名前や形にとらわれる必要はない。必要になったときが来れば、また話し合って決めていけばいい。

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