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“家族愛”、“恋心”、“包容力”
すべてをうまくMIXしたハグ

『西園寺さんは家事をしない』第8話より ©TBS
『西園寺さんは家事をしない』第8話より ©TBS

 これまでずっと、恋の先に愛があるのだと思っていた。「恋と愛のなにがちがうの?」と聞かれるとむずかしいけれど、たとえるなら、連絡がないとき浮気の心配をするのが“恋”で、体調を心配するのが“愛”とか。ドキドキするのが“恋”で、心が安らぐのが“愛”だとか。恋をしているなかで、信頼を積み重ねていくことが、揺るぎない愛につながっていくものなんじゃないか? と。

 しかし、西園寺さん(松本若菜)と楠見くんの間には、恋よりも先に愛が芽生えているように感じる。だからこそ、お互いに自分の気持ちがよく分かっていないのだろう。友達から恋人に発展した場合、最初はちょっぴり気まずい…なんてことはよく聞くが、西園寺さんと楠見くんの場合は“家族愛”から始まっている。今さら、恋のお相手として見るのは難度が高すぎるのだと思う。

 ただ、瑠衣からのメッセージを受け取ったとき、楠見くんがいちばんに会いたいと思ったのは、西園寺さんだった。ふだんから効率派の楠見くんは、考えがまとまらないまま誰かに気持ちをぶつけるのは、好きではなさそう。それなのに、西園寺さんの前では、まるで子どものように泣きじゃくり、「話したくて、話したくて…」とただただ感情をぶつけていた。カッコ悪いところを見せられるのって、やっぱり愛だ。

 そして、泣きじゃくる楠見くんを優しく抱きしめた西園寺さん。このハグは、かなりこだわって演出されていたように思う。西園寺さんは、横井(津田健次郎)と交際をスタートさせているため、楠見くんと恋仲っぽいハグをしてしまうと、視聴者が違和感を覚えてしまう。

 偽家族としての“家族愛”と、ちょっぴりの“恋心”、そして上司としての“包容力”。すべてをうまくMIXしたハグの仕方と表情。松本若菜の演技力を再確認した瞬間だった。

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