少ない情報でも説得力を持たせる松村北斗の芝居
西園寺一妃は主人公ゆえ、仕事や家族構成、ファッションやシルバニア好きという趣味・嗜好など全方位に及んで描かれているのに対して、楠見はアメリカ帰りの天才エンジニア。娘がいて、自宅マンションが家事になり、持ち物はキャリーケースに黒いリュックサック…。第1話前半で描かれた人物の特徴はかなり少なかった。
ストーリーが進むにつれて、楠見本人や登場人物のセリフから少しずつ情報を得たものの、せめて自宅の様子でもあれば、家具家電やインテリアから人柄を窺い知ることもできたはず。そのような描かれ方にもかかわらず、セリフ回しに表情、エンジニアとしてのエリートっぷりはスマートな体型からも、”楠見俊直”という人物像がストレートに伝わる松村の芝居の説得力たるや…。
第1話の登場シーンから優秀なITエンジニアらしいキリリとした雰囲気を醸し、口調も理論的で、冷静沈着な人柄が伝わってきた。火事に遭った際の対応には西園寺も驚いたほど。のちに起こるシステムのトラブル時も、事象の切り分けをしてスマートに対応していた。