並行して起こる拉致事件
“謎の男”は敵か、味方か?
占拠事件と並行して、拉致事件も発生している。囚われているのは武蔵の妻・裕子(比嘉愛未)で、彼女の身柄を謎の男(ジェシー)と警察官の綾部朔(吉田健悟)が奪い合う格好となっている。
そもそも謎の男は肩に銃弾を受けた状態で裕子の前に現れ、街中を適当に車で走り回らせた後、裕子の自宅で弾丸を摘出する手術をさせる。謎の男を撃ったのが、狂気じみた様子で謎の男を追い続ける綾部だ。
謎の男は白河によって自殺に追いやられた秘書の弟であると見る向きが強く、あえて「第一発見者は弟」と明言した点などから考えても、これはまず間違いないだろう。そうであるならば、なぜ彼は裕子の前に姿を現したのか。
例えば、裕子に秘密裡に治療をしてもらいたい患者がいる、とか。銃を突き付けてはいるものの、直接的な危害を加えていない点において、裕子の命そのものが目当てということはなさそうだ。
また、綾部が裕子に「あの男から何も聞いていないか?」と言っていたことから、綾部らに都合の悪い事実を謎の男が知っているということになる。
その綾部に「女医も娘(えみり)も始末しろ」などと指示を出していたのが川越であることを考えると、山猫―川越―綾部が繋がっていることになり、拉致事件と空港占拠事件が徐々に繋がりはじめる。