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英語と岡山弁の“バイリンガル”
小池栄子の強烈なインパクト

ドラマ『新宿野線病院』第1話(C)フジテレビ
ドラマ『新宿野線病院』第1話(C)フジテレビ

 ダブル主演を謳っているが、1話でより際立ったのは小池演じるヨウコではないだろうか。冒頭でテキーラをショットであおり、ゴミ山に突っ込んだかと思えば、救急車で運ばれた後には記憶がないうちに病院内で暴れるなど、医師とは到底思えない振る舞いを見せた。
 
 もちろん、ドラマの世界と言えばそれまでだが、一応は医療ドラマにカテゴライズされるこの作品においてヨウコは異質ともいえる存在感を放った。

 例えば、4月クールで放送され大きな反響を呼んだ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)も医療ドラマで、若葉竜也演じる三瓶を筆頭に細部に渡るキャラクターの作り込みには視聴者から感嘆の声が上がっていた。しかし、三瓶らが心の機微で視聴者を魅了したのだとすれば、ヨウコはまず目に見える部分でインパクトを与えている。

 特に印象的だったのはタンクトップ姿と、英語と岡山弁の“バイリンガル”。ドラマ内では「おばさん」とも呼ばれているが、グラビア出身の小池が持つスタイルの良さはいまだ健在で、ピタッとしたタンクトップを着た姿はまるで二次元から出てきたようなビジュアルに。

 話す言語がコロコロと変わる台詞回しは素人目に見ても難儀だが、仲野曰く「ほとんどミスはなかった」という。また本来、日本語は口をそれほど動かさなくとも発音できるが、英語のように大きく口を動かして岡山弁を繰り出すことにより、日系アメリカ人であることも巧みに表現している。

 突飛なキャラクターには違いなく、アクの強さからSNSなどでは賛否両論の様相を呈していたが、それも最初からキャラクターの方向性をしっかりと打ち出した結果。小池の持つ目力や語気の絶妙な強さなどでしっかりと芯の通った人間であることも伝わってくるし、個人的には好感が持てる。

 さらに、高峰の疑問に対して答えた「目の前にある命は平等に助ける。それが医者」という言葉は、この人の物語を一緒に追っていきたいと思うには十分すぎるものだった。

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