享「平和…忘れちゃったよそんなの」
ことあるごとにヨウコが言っていた「命は平等」という言葉は、意外にも、啓三と、病院をずっと嫌っていたホームレスのタケさん(森下能幸)が回収する。
感染し救急搬送され、啓三の隣のベッドになったタケさんは、以前、現金をひけらかせていたときとはあまりにも違う、意識のない今の啓三を見て、こう言うのだ。
「あの時は同じくらいの年でこうも違うのかと思ったけど、こうなると、命は平等やなあ。あんじょう頑張りや、おっさん」。
病気で、これまであった格差がなくなる。何とも皮肉だ。
「平和……忘れちゃったよそんなの」
第1話ではチャラチャラボンボンのポルシェ男だった享が、まさか、こんな言葉を吐くような展開になるとは――。
恐るべし、『新宿野戦病院』。次回はウイルスの終焉が描かれる。歌舞伎町の風俗王、南舞パパ(松尾スズキ)もついに登場するが、どうかかわってくるのか。予告で響くのは、ヨウコのこんな言葉だ。
「今、怖いのは、ウイルスより人間の心じゃ」
最終回、その言葉の真意をしっかり見届けよう。
(文・田中稲)
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