「雑」という臨機応変の必要さ
前回に引き続き、ヨウコ・ニシ・フリーマンの手術シーンもあるが、やっぱり彼女は「雑」。しかし雑だから間に合う命もある。これは、きっとこのドラマの大きなテーマで、最終話まで毎回この雑に助けるシーンは描かれ続けるだろう。
雑とは、言い方を変えれば臨機応変。コロナ禍により、体だけでなく心にも「潔癖」の傾向が強まった現代。心の中の検閲官はうるさくなるばかりだ。
ヨウコの施術や、流暢だかなんだか分からない英語、医師たちが話題にする「しのぶさん(塚地武雅)は男か女か?」論争などなど、このドラマには、視聴者のジャッジ症候群を自覚させられる、様々なトラップが仕掛けられている気がする。
重い社会問題と雑な主人公たちが絡み合い、すべてをフラットに描くこのドラマは、私たちに「公平な目線とはなんぞや」と突き付けてくる。
命は公平だが、公平ではない部分に救われる人もいる。そもそも、公平(であらねばならないとする)世界からこぼれた人たちが歌舞伎町に来る――。橋本愛がNPO法人の代表を務める裏で、SM嬢の顔を持つことも、早くも明らかになった。
歌舞伎町における「誰でも安心して遊べます」の「誰でも」の意味は、とても深い。